前世の体験から持ち越した強烈な思い
私たちは、自分なりの好みや価値観、世界観を持っています。
それはひとり一人異なるものです。
世の中には、実にさまざまな意見や価値観があるものですが、
同じような価値観を持っている人とは
とても気が合い安心できます。
意見が対立すると、それだけにとどまらず
相手の人間性までをも疑ったり否定したくなったりします。
たとえば人里離れたへき地にこもって
他人との交流を避けるような生活を選ぶ人(Aさん)も
いるでしょう。
このような人を
「変わっている」「変人」と呼ぶ人(Bさん)もいます。
Bさんにとって、Aさんは変人にしか思われず、
とうてい理解できないと感じるかもしれません。
けれども、Aさんにとっては、この引きこもりのような生活は
「とても自然で当たり前…」と
自覚されているのかもしれないのです。
他には選択肢が思いつかないほど必然性があり、
自分にはぴったりだと思っているかもしれません。
さて、このAさんが
前世でどのような体験をしていたかと言いますと、
本人の意志とは関わりなく、常に大勢の人々に囲まれて、
来る日も来る日も皆からの陳情やクレーム、
愚痴や文句などに対応しなければなりませんでした。
小規模なコミュニティの長老のような立場を
想像してみていただければと思います。
そのコミュニティにはもめごとが多く、
人々の心には安らぎがありませんでした。
彼にはプライベートな時間も場所もなく、
家族や友人などとのふれ合いも犠牲にせざるを得ず、
その役割を真面目に果たし、
仕事に忠実に尽くす一生を送りました。
その前世で死を迎えた時、
魂となった彼は決意をします。
「今度はもっと自由に、他者に煩わされることなく、
人と人とのもめ事に巻き込まれることもない静かな時間を過ごしたい…」
そして、次の転生、すなわち今生、
Aさんはそれが実現できるような生き方を
いとも自然に選択したのです。
転生を越えて持ち越された強い思いは、
その魂にとってきわめて大切なものとなります。
けれども残念ながら、周囲の人々には
理解が難しいかもしれません。
人間を、魂や霊性を含む
トランスパーソナルな存在だとみる立場に立つならば、
Aさんは、カルマ(心残り)のバランスを取るために
この人生の計画を立ててきたことになります。
Aさんの選択に対して、
第三者が意見したり、
ジャッジしたりすることには意味がありません。
今、ここに転生してきている私たちの全てに
こうした前世の体験によるカルマがあり、
それぞれがその人にとって必要な何かを求め、
追求しているのかもしれません。
理解できない相手と出会ったら、
そんなふうに考えてみるのも
よいかもしれません。
2013年09月26日