アンビリーバボーで注目の前世特集
数年前、あるTV番組で前世療法が取り上げられていましたが、
皆さまは、ご覧になりましたでしょうか?
ヒプノセラピー、前世療法が紹介されるTV番組は
あまり多くはありませんので、
オンエアの情報が事前に入ると、
ヒプノセラピスト仲間内で、すぐに伝わってきます。
おかげで、仕事を早めに切り上げて自宅に戻り、
最初から視聴することができました。
番組のテーマは、「前世は本当にあるのだろうか?」というもの。
催眠状態に誘導された主婦の方が、
突然ネパール語を話し始めるのですが、
ネパールを訪れたこともなければ、
ネパール語を習ったこともないというのです。
これは「真性異言」現象と呼ばれ、
映像として記録されたことがほとんどないのだとか。
(実は私は異言現象を見たことが何度かあります。)
番組スタッフがネパールを訪れてみると、
主婦が描いた風景とよく似た場所があり、
幾つかの点においては、主婦が催眠中に話したことが、
事実と符合していると確認されました。
TVに出演されていたヒプノセラピストの方は、
たまたま出会ったクライアントの主婦の方に
セラピスト側からお願いして、実験セッションをなさったそうです。
前世の実在を証明したいという情熱が伝わってきました。
この番組をご覧になった方が、
前世や輪廻転生、前世療法に興味を持っていただけるようになったとしたら
ヒプノセラピストとして、喜ばしいことだと思います。
ネパールに渡って前世の手がかりを見つけようとするプロセスは
興味深いものでした。
さて、ヒプノセラピスト、前世療法セラピストとして、
気になったことが幾つかあります。
一つ目は、催眠の深度です。
番組の映像を見ると、クライアントの女性は、
ヒプノセラピストの(日本語での)問いかけに応答しないほど
深い催眠に入っています。
この状態では、意識が完全に前世のパーソナリティとなっていて、
日本人女性としての現在のリアリティから
離れてしまっていることを示します。
歯の治療や外科手術中の痛みを感じないようにする目的などでは、
このような深い催眠状態に誘導することがあると思いますが、
心身の問題やお悩みに働きかけ、癒す目的で行う前世療法では、
こうした深い催眠を使うことは、必要ではありません。
退行療法である多次元セラピーでは、
クライアントさんの意識が、一つは前世のパーソナリティにあり、
もう一つは現在のパーソナリティの意識としてある、
この2点を中心としている状態を、意図的に使います。
これは、2つの中心を持つ楕円に見立てて、
意識の「楕円構造」と呼ばれます。
このレベルの催眠深度のクライアントさんは、
前世の村の風景も見ている(わかる)一方で、
セッション・ルームの近くを通る
消防のサイレンの音も聞こえて(わかって)いる状態です。
より深い催眠状態では、
自分が日本人の女性であるという意識は失われ、
完全に「ネパールの村長」そのものとなってしまいます。
たとえば、聴覚障害を持つ前世に退行していたとしたら、
ヒプノセラピストの言うことは全く聞こえなくなりますし、
言葉も話せなくなるでしょう。
ヒプノセラピー、前世療法では、
クライアントさんとの対話を通じて、本当の思いに気付き、
心の傷を癒すプロセスが進んでいきます。
前世のパーソナリティそのものとなって
ヒプノセラピストとの対話が困難となるような
深い催眠状態に誘導することは、
セラピーの目標を達成するうえでは、望ましくないのです。
二つ目は、この女性は、前世療法のセッション後、
前世の記憶の断片(?)がフラッシュバックするようになり、
通常の意識の状態で、村の風景を描くことができました。
前世療法を行い、その前世での未完了の感情や信念、
体の傷や病などを完全に解放して癒すことができると、
その前世のことは、ほとんど思い出さなくなっていきます。
何かの折に、記憶がよみがえってきたとしても、
ニュートラルで淡白な印象となるでしょう。
この女性には、
もう少しセラピー的な働きかけが必要かと思われますが、
その後、このネパールの前世は、
十分に癒されたのかどうか、気にかかるところです。
ちなみに、関根勤さんが、何かを買いに出かけると、
なぜかコートを買ってきてしまうと話していましたが、
癒されていない未完了の何か、
即ち、前世からのカルマとは、
こんなふうに、日常、しばしば表面に現れてしまうのです。
彼にも前世療法をお勧めしたいですね。
三つ目、どうにも気になったのは、
ヒプノセラピストが、セッション中、
クライアントの女性に、頻繁に手を触れている点です。
催眠療法中、首や肩などに手を触れる効果とは
どんなことか、不明です。
そこで、ちょっと調べてみますと、
このヒプノセラピストさんは、
死後存続(生まれ変わり)仮説を、科学的に検証するために、
「SAM前世療法」を「研究」を目的として
行われているということでした。
番組中、「治療」という言葉が何度か出てきましたが、
セラピーとしてのはたらきかけではないということのようです。
第三者がいない状況で、
クライアントに手を触れて行う誘導というのは、
ヒプノセラピーそのものの信用を落としかねないと感じますので、
一般的に、ヒプノセラピストの誰もが行っていることではないことを
お伝えしておきたいと思います。
前世は、検証が困難なものです。
これまでも、ホームページやこのブログに書いておりますように、
私は、実証する必要をあまり感じていません。
なぜならば、信じても信じなくても、
セッションにおいて、前世・過去生に退行することが、
目覚しい効果をあげていることは疑いがないからです。
感情の解放と癒し、人生の探求と洞察、
その方が望む変化こそが、前世療法の目標であり、
たとえ前世を信じていない方であっても、
癒しは起こり、気付きはやってくるのです。
ともあれ、今回のようにマスメディアで紹介されて、
多くの方々がそれを視聴され、
前世にご興味を持たれるきっかけとなったのであれば、
たいへん喜ばしいことです。
あなたも、時空を越える前世への旅を
いちど試してみませんか?
2013年08月23日