前世があるか否かの検証と、セラピーとしての前世療法
前世療法のスクールを受講なさる方の大半は、
近い将来、前世療法セラピストとしての開業を
目指しておられます。
元々、心身の癒しに対する関心が高く、
既にさまざまな代替療法、ヒーリングを
習得してこられた方も少なくありません。
私自身、癒しということに興味を持ち始めてたどりついた
前世療法・過去生セラピーですので、
このような方々がどんなことを体験され、考えてこられたかは
容易に想像がつきますし、理解もしやすいのです。
けれども、中には、前世・過去生そのものに惹かれ、
ご自分の前世・過去生をもっと探求してみたい…というところから、
まずは、ご自分に対する前世療法ワークのノウハウを学ぼうと、
スクールにお越しになる場合もあります。
前世療法スクールでは、
こうしたニーズにもお答え出来るように、
前世療法・過去生退行ユニットを
単独で受講していただけるようになっていますし、
またよりコンパクトにまとまった「前世体験・自己催眠セミナー」では、
最初からご自分にかけるワークとして想定されたノウハウを
お伝え出来るようになっています。
いわゆる前世・過去生を探求することは、
プロのセラピストであっても、セルフワークであっても、
とてもエキサイティングで、ワクワクするばかりではなく、
ご自分の眠っている才能や可能性の発見、深い自己理解、
さらには意識の広がりなどにも思いを向けられていく
素晴らしいチャンスとなるでしょう。
さて、前世療法をなさっておられる方々の中には、
ここに挙げたような動機や目的ではなく、
癒しというフィールドとは少し離れたものもあるのを
ご存じでしょうか?
それは、前世・過去生というものが、
果たして実在するのか否かを検証するという目的の前世療法です。
ニュートラルな立場から、科学的に研究されている場合もあれば、
「前世は在る」という立場から、
根拠となる情報を集めておられる場合もあります。
このような検証をなさっている方々と、
個人的にお会いする機会が、過去に何度かありました。
前世研究家と言われる方々は、
近年、マスメディアに登場することも増えていますので、
TV番組の特集や動画サイトなどで
ご覧になったこともあるのではないでしょうか?
有無の検証を目的としたセッションは、
癒しのサポートをするセラピストの立場とは、
だいぶ異なる角度や切り口からのアプローチであると
いつも感じています。
心の癒しということではなく、科学的に検証するのですから、
催眠状態への誘導方法からして手法も趣も違ってきます。
セラピストとしては、
その方のパーソナリティと、セッションのテーマ、
ご希望に合わせた効果的な誘導方法を採り、
基本的には心身のリラクセーションを深めていくのが
オーソドックスなやり方です。
それに対して、検証を目的とする場合は、
当然のことながら、効率よく、すばやく、
深い催眠深度に移行出来るように誘導する方法となっています。
この催眠深度ということが、
誤解や不信などを生みやすいもので、
研究目的のセッションと、セラピーとしてのセッションでは、
使う催眠深度が異なることを
知っておいていただければと思います。
セラピーにおいては、
前世・過去生イメージの中に完全に入り込み、
その世界の言語を話すほどのレベルで浸りきる深度は
通常は使うことはないものです。
また、クライアント=被験者さんが受け取ったイメージの取扱い方も
検証するという目的に沿ってフォーカスされ、選択されています。
検証と癒しでは、一見、同じような前世療法をしているようで、
実はかなり異なっており、
目的が違うとこのように違ってくるものかと
セラピストの眼から見ると、なかなか興味深いものがあるのです。
検証には、裏付けが必要ですので、
前世イメージに現れた出来事や社会、時代背景などについては、
歴史や民族、地理などの文献にあたって、
細かいところまで時間をかけて調査する場合もあるようです。
たとえばイメージの世界で戦いが起こったら、
どんな時代にどの場所で起こった戦争だったのか、
文献を丹念にひもといて史実と対照させていくわけです。
実は、私のセッションルームにお越しくださった方の中にも、
こうした裏付けにご興味を持たれて、
前世療法中に現れたイメージを、
「後日、調べてみたら、実際にありました…!!」 と
ご報告くださる場合があり、
私もそのようなお知らせを、興味深く読ませていただいています。
調べていくことで、さらにイメージがはっきりとしてきて、
新たな気付きや理解に結び付いていくことも少なくありません。
とはいうものの、やはりセラピーとしての前世療法では、
事実関係や時代考証の部分は、
実はさほど重要ではないと言ってよいでしょう。
大切なのは、その方に具わった自己治癒力のパワーを
最大限に引き出せるように促すこと、
そして気付きやヒントを出来る限り漏らさずに
受け取れるようにお手伝いすることです。
潜在意識という膨大な領域の中から、
ベストタイミングで現れる特定のイメージをゆがめることなく、
そしてより明確に受け取っていただけるならば、
深い解放や癒しが促され、
前世・過去生イメージへの旅は、
魂にまで響くような深遠な体験となることでしょう。
さまざまな考え方があるとは思いますが、
私は、前世・過去生の有無には、
あまりこだわりを持たない立場です。
前世・過去生は、在ると思う方には在り、
無いと思う方には無く、
いずれにしても、心理療法としての前世療法は、
驚くべき癒しの効果をもたらすと考えています。
それが史実として認定されてもされなくても
潜在意識からやってくる、
もう一つの人生・もう一人のご自分のイメージは、
他のセラピーにはない独特のインパクトを持ち
心を揺さぶります。
前世療法・過去生セラピーセッション中に受け取ったイメージを
文献で調べるなどして、
どうやらそれが現実に存在していたものであるらしいとわかることが、
ご自分に具わった自己治癒力や、
潜在意識に眠る叡智を信頼することに役立つのならば、
それは、その方にとって、意義深いことに違いありません。
2015年06月05日